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植物由来のベジタブルタンニンレザーのご紹介

植物由来のベジタブルタンニンレザーをご存じでしょうか? なめしとは、生皮を柔らかく丈夫にし、防腐効果などを加えるための方法です。 なめしかたにはいくつか方法があり、その中でも今回はタンニンなめしの中のベジタブルタンニンを使用したレザーについてご紹介いたします。 「タンニンなめし」は主流の「クロムなめし」よりも手間やコストがかかるため、いまや全革製品製造のうち2割にまで減少しています。 それでも、い...

植物由来のベジタブルタンニンレザーをご存じでしょうか?

なめしとは、生皮を柔らかく丈夫にし、防腐効果などを加えるための方法です。

なめしかたにはいくつか方法があり、その中でも今回はタンニンなめしの中のベジタブルタンニンを使用したレザーについてご紹介いたします。

「タンニンなめし」は主流の「クロムなめし」よりも手間やコストがかかるため、いまや全革製品製造のうち2割にまで減少しています。

それでも、いくつかのメーカーが一途に製法を守り、100年以上にわたって受け継がれてきました。

価値を見直され、注目を集めているタンニンなめし。

その深い魅力に迫ります。

ベジタブルタンニンレザーとは?

タンニンとは、植物に含まれる「渋」のことです。

タンニンと皮の繊維であるコラーゲン(たんぱく質)をじっくりと結合させることで、革にハリやコシが生まれるようになります。

ベジタブルタンニンレザーとは植物由来の「タンニンなめし」で加工されたレザーのことです。

使い込むうちに革ならではの色や質感の経年変化が楽しめるといわれています。

しかし天然素材を使用し、丁寧になめし作業を行う分、製造には原皮から着色の加工まで半年を要し、人件費や設備コストも多く必要になります。

ベジタブルタンニンレザーの種類の前に

ベジタブルタンニンとは、植物タンニンともいわれ、使う植物によっても差が生まれます。

化学構造上ではポリフェノールという呼び方もされています。

ワインなどにも入っているポリフェノール。

口に入れるとキュッと口の中が締まる感じがしませんか?

ポリフェノール分子は、タンパク質と結びつきやすい性質があります。

なので、タンニンがしっかり皮に入り込んでいくことで、コラーゲンとしっかり結びつき、丈夫でしっかりしたレザーになるということです。

栃木レザーではミモザの木が使用されますが、その他にも様々な種類があります。

今回はそのタンニンの種類をご紹介いたします。

ベジタブルタンニンレザーの種類その1

ミモザmimosa

栃木レザーにも使われているミモザ。

アカシアとも呼ばれる、黄色い房状の花を咲かせるマメ科の植物です。

ちなみに、3/8は女性の政治的自由と平等を訴える日として「国際女性デー」と国連が制定しています。

この日はイタリアでは「女性の日」とされ、女性への日頃の感謝を込めて、男性から女性へミモザ(アカシア)の花を贈る習慣があります。

ミモザのタンニンは樹皮から抽出されます。

代表的なミモザエキスは62%のタンニン分と20%の非タンニン分を含んでいます。

タンニン分/非タンニン分の比率が大きくなれば、なめす力が強くなります。

ミモザタンニンは縮合型タンニンといわれるタンニンで、粘度が低く、またpHが高く、不純物が少ないのです。

殆どのベジタブルタンニンなめし・植物タンニンなめしに適しているといえるタンニンです。

また、成分に糖の含有量も少ないため、他のタンニンと混合タンニンの調製にも用いられます。

ベジタブルタンニンレザーの種類その2

チェスナットchestnut

チェスナットは、日本では「栗」と呼ばれています。

栗と呼ばれるとわかる方も多いですよね。

栗といえば実であるマロンのイメージが強いですが、建材としてアメリカ等の海外では主流として使用されていたりもします。

その栗、ヨーロッパチェスナット、アメリカチェスナットの木から得られるタンニンです。

底革や多脂革、ベルトなど、厚い革のなめしによく利用されています。

チェスナットは生産方法によってタンニン含有量が異なります。

チェスナットタンニンは加水分解型に属しており、他タンニン剤と混合して用いる事が殆どです。

皮に対する作用が早く、急速に硬い革が得られるのが特徴です。

ケブラチョquebracho

こちらはなかなか聞きなれない名前の樹木ですが、南アメリカ産のウルシ科の樹木です。

ケブラコとも呼ばれ、南アメリカのウルシ科から抽出されるタンニンとなります。

なめし剤として重要なものはの2種類の近縁樹木の芯材より得られます。

schinopsis balansae(和名:バランサエ、英名:quebracho–colorado chaqueno)

schinopsis lorentzi(和名:ラレントジイ、英名:quebracho-colorado)

この二つです。

ケブラチョタンニンは黒色に近く、60%以上のタンニン分を含んでいます。

縮合型タンニンに分類され、冷水に溶けにくいという性質を持ちます。

亜硫酸ナトリウムで加圧加熱処理を行うことで、冷水にも溶けるように調製されて用いられます。

ミロバランmyrobalan

インド、インドシナ原産の植物で樹皮は暗褐色で葉っぱは楕円形で裏が粉白色の木です。

耐久性がしっかりしてるので、家具、農器具、車両などに使われます。

そのミロバランの木の実を砕いて得たタンニンを使用します。

ミロバランは加水分解型のタンニンです。

ミロバランでなめした革は、柔らかく、淡い色になるのが特徴です。

ただし、しまりや堅さに欠けた特徴も持つので、ほかのタンニンと混合して利用される事が多いです。

ミロバランタンニンは長時間置いておくと、不溶性物質が沈殿してしまう性質を持つため、保管には注意が必要です。

まとめ

ベジタブルタンニンレザーといっても様々な種類があります。

ミモザや栗など、身近な植物も多いですね。

環境にもやさしく、自然に近い形で作られるベジタブルタンニンレザー。

手間がかかるので値段も効果になってしまったり、なかなか入手が難しかったりします。

けれど、自分へのご褒美に手に入れるのも素敵だと思います。

また、お父さんやお母さん、子供や孫や友人、お世話になった方など・・・大切な人へのプレゼントとしてもぴったりですね。

ぜひベジタブルタンニンレザーを使用した商品を手に取ってみてください。

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