なめしをご存じですか? なめしは鞣しと書き、革と柔の文字が入っているように、レザーを弾力性に富みながらも腐敗しにくくするための方法のことです。 動物の皮は、柔軟性に富み非常に丈夫ですがそのまま使用するとすぐに腐敗したり、乾燥すると板のように硬くなり柔軟性がなくなります。 なめしていない状態を「皮」と呼び、なめしたものを「革」と呼び区別していることもあります。 レザー製品を丈夫に美しく使用するための...
目次
- 1. なめしをご存じですか?
- 2. なめしとは?
- 3. 鞣し(なめし)のルーツ、皮革の歴史とは?
- 4. タンニンなめしとは?
- 5. クロムなめしとは?
- 6. まとめ
なめしをご存じですか?
なめしは鞣しと書き、革と柔の文字が入っているように、レザーを弾力性に富みながらも腐敗しにくくするための方法のことです。
動物の皮は、柔軟性に富み非常に丈夫ですがそのまま使用するとすぐに腐敗したり、乾燥すると板のように硬くなり柔軟性がなくなります。
なめしていない状態を「皮」と呼び、なめしたものを「革」と呼び区別していることもあります。
レザー製品を丈夫に美しく使用するための知恵であるなめしについて説明いたします。
なめしとは?
なめしとは皮のコラーゲン繊維となめし剤を結合させることによって、安定した素材へと変化させることです。
なめすことによって、皮は、耐熱性を備え、腐りにくく、柔らかくしなやかな革へと生まれ変わります。
現在主流となっているのは、タンニンなめし(ベジタブルタンニンなめしなど)、クロムなめし、またその両方を合わせたコンビネーションなめし(ヘビーレタンなめし)の3種類のなめし方です。
なめし方が違えば、出来上がりの特徴や、手順や方法、使うなめし剤の種類も異なります。
なめしの方法は、人間の生活の変化に伴い、様々な進化を遂げてきました。
鞣し(なめし)のルーツ、皮革の歴史とは?
皮革の歴史はとても長く、アウストラロピテクス・ハビリスによって約200万年前から道具(削器)で皮を薄く漉き、皮を様々な用途に使用していたといわれています。
約100万年前にはホモ・エレクトス(ジャワ原人・北京原人)によって火を使用し、引っ張りながら乾燥させることで煙で皮を加工していました。
更に、特殊な石器で不要な脂肪と肉の削ぎ落としをする加工もしていました。
そして最初に毛皮を身につけたのは、50万年前の氷河期かネアンデルタール人(20万年前~2万数千年前)と推測されています。
8千年頃には、皮を煙で燻して防腐加工を施し、獣脂を塗布して皮革を使用していたようです。
同じくクロマニョン人(4万年前~3万5千年前)は骨や火打石(すい石:石英の一種でとても硬い)から針・キリ・ナイフを作っていました。
これらの道具を使って軟らかく柔軟性のある革を製造していたといわれています。
皮は多くの用途を果たしました。
最初は毛皮をそのまま身に着けており、。結果として、高地や寒冷地への移住が可能になりました。
そして呪術師(シャーマン)は毛皮を被り、角をつけて魔除けや豊穣を祈願して踊っていました。
また、槍や簡単な石器だけの狩りの時代に、動物に気づかれないように接近するために毛皮を被ったも考えられています。
更には木・骨・角の柄に石の刃や斧の頭を結びつけるのに革ひもが使用されていたそうです。
このように、何万年も前から皮革は使用されており、様々な工夫と知恵により皮革の防腐や加工が進んできたのです。
タンニンなめしとは?
タンニン(渋)とは植物にある水溶性の化合物です。
植物タンニンなめし・ベジタブルタンニンなめしなどとも呼ばれています。
動物性タンパク質と結合させるなめしで、起源は古代エジプトにまで遡ります。
日本ではミモザの木がなめし剤として多く使用されます。
栃木レザーなどもミモザの木を使用しています。
手間がかかる天然鞣し加工を全行程で行うのは、日本でも数社しか行われておりません。
植物タンニンなめしの良さはなんといっても強いエイジングが楽しめることにあります。
使い込んだ時間と共に革が柔らかくなり色艶が増してくるので、自分で革製品を育てていく喜びがあります。
これは、自然に近い形でつくられた植物タンニンなめしならではです。
また、植物性の材料を使用しているので、廃棄されても地中で微生物等に分解されます。
環境にも人にも優しいのが特徴です。
植物タンニンなめしのデメリットは、作る際にかなりの手間がかかることです。
また、出来上がった後も雨に弱く、変色・変化が激しいので、きちんとしたお手入れが必要です。
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クロムなめしとは?
クロムなめしとは、塩基性硫酸クロムを主成分としたなめし剤を使って革をなめす方法のことです。
世界中のほとんどのレザー製品はクロムなめしで作られています。
クロムなめしを経て仕上がった革はクロム革(レザー)と呼ばれ、軽くて柔軟性・耐熱性が高いのが特徴です。
また、なめされた直後は革が濡れていて、革の色が水色・淡い青緑色になることから”ウェットブルー”とも呼ばれています。
ドラムやハイドプロセッサーという機械に皮となめし液を入れ、6~8時間回転し、一日かけて鞣します。
なめし液によって、時間は変わることもあります。
クロムなめしはなめし時間が短いので、柔軟で火に強く、変色が少なく発色もいいです。
また、弾力性があるので靴などに適するし、硬い革にも柔らかい革にもできます。
汎用性があるので、細かいデザインもしやすいです。
革なので、お手入れは必要ですが、植物タンニンなめし(ベジタブルタンニンなめし)などに比べると少なくて済みます。
まとめ
現在当たり前のように行われているなめしですが、歴史は深く、何百年も前から皮と人類は密接な関係を築いてきました。
どちらもメリット、デメリットはありますが、使いたい用途や革製品のデザインに合わせて選ぶのがいいと思います。
知ってるおくとためになる、なめしの種類についてはいかがでしたでしょうか。
ぜひレザーの奥深さを味わってください。